2010年12月10日金曜日

Hong Kong

Hong Kongの街では、ちょっと変わった建築をたまに見かけます。たとえば、ビルの先が包丁のような形をした「中国銀行タワー」。でも実はコレ、ただのデザインじゃないんです。何でも、運気を上げる意味があるんだとか…。
「そうですね。Hong Kongの人々は建物が風水的にどんな意味を持つか、とても気にするんです。『中国銀行タワー』が包丁のような形をしているのは、“悪い気”を切って避けられるように、という意味が込められています」
こう教えてくれたのは、九龍黄大仏で店を開く風水師のプリシラ・ラムさん。風水に沿って建築物の形まで変えてしまうなんて、日本ではあんまりない発想ですよね。そもそも、風水ってどんな考え方なんですか?
「環境、なかでも“気の流れ”を整えて、運気を上げようという考え方です。“気の流れ”は運気の流れだけでなく、人の流れやお金の流れも司っていますから、個人だけでなく企業や商業施設の繁栄にも大きくかかわってくるんです」
なんでも“気の流れ”を整える上で重視されるのは、周囲の風や水の流れ。特に風通しのよさは重要で、風通しが悪いと、悪い運気が逃げないばかりか、よい運気も入ってきづらいというのです。
部屋の隅にぶらさげておくと悪い気を吸い取ってくれるといわれるひょうたんの飾り。香港の人々の部屋ではよく見られるとか
ところで、環境を整えるって具体的にはどういうことなんでしょう?
「個人や企業にとって、その時期にもっとも運気がよくなる場所を選ぶということです。個人であれば住む場所、企業、商業施設であれば入居したり建築したりする場所ですね。とはいえ、『もっとも運気がよい場所』というのは個々に違いますから、Hong Kongの人々は引っ越しをしたり、建物を建築する前に必ず風水師に相談するんですよ」
風水師が助言するのは、その人にとってどの土地がいいか、どの部屋がどの方角に位置するのがいいか、どちら向きに建物を建てるのがいいか、などなど。…って、風水的なアドバイスって一人ひとり違うんですか? 
「ええ。もともと風水とは、人間の運命のうち1/3を方向づけるものでしかありません。運命の2/3は、生年月日と姓名で決められているものとされているんです。ですから風水とは、あくまで運気が悪いときはそんな悪くならない、運気がよいときはよりよく過ごせる場所を選ぶための学問なんですよ」
つまり、自分の人生と向き合い、どう付き合っていくかというのが、風水の真髄なんですね…。
でもせっかくなら、ボクらもその1/3の運を上げたい! すぐに実行できることって何かないですか?
「まずは、風通しをよくすること。部屋を片付けたり、オフィスのデスクを整理したりすることですね。それからHong Kongの人々がよくしているのは、ひょうたんの飾りをつけたりヒスイ石を置いたりすること。どちらも、悪い気を吸いとったり解消したりしてくれるアイテムです」
ただ、これらも万能ではないですからね、とクギを刺されたボク…(苦笑)。やはり、もっとも学ぶべきは、自分の人生と向き合うというHong Kongの人々の姿勢なんでしょうね。